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会社の「独自性」は、リーダーの「見方」から生まれると思っている話。

このブログを書いた人:

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小笠原 裕介

株式会社ジナルカ代表取締役。マーケティング・セールス領域で機能する自己表現ツール「ビジョンキャンバス/スタートアッパー」運営。ビジネスを物語で考える人。0が近づくにつれて目が開き、0を超えると覚醒する夜型人間。朝日は苦手。IT業界20年、差し掛かるベテランの域。らしく、凛々しく頑張ります。

どうも、小笠原です。

ブログで困るのは始め方と終わり方です。やわらかい話題で、読み手の意識を自然に振り向かせたいと思いますが、そんな導入文をつくる才能は今のところ見つけられてません。終わり方は、いちばん伝えたいことをあらためるとともに、少しの余韻を残し、またこの書き手の文章に触れたいと思ってもらえるのが理想だそう。文章を書くというのはとてもむずかしいです。

さて、今日はタイトルの通り、会社の「らしさ」とリーダー=社長の「人間性」の関連性についてお話したいと思っています。

ジナルカでは、会社の自己表現を課題とした相談がほとんどですので、僕が社長様と直接お話をする機会が多いです。その社長に対して総じて感じることが多いのが、「面白く、深みのある個性や考え方をお持ちなのに、それを表に出すことをどこか怖がっている」という印象です。

社長が「この時代をどう捉えているのか?」がすべての起点

このブログの結論はもちろん「社長の個性をもっと表現すべき」です。咀嚼してポイントを絞ると「社長が今の時代において、会社のもつ価値をどう捉えているか?」という話は、会社の活動方針を決める上で、もっとも重要になる考えだと思っています。

以前に僕の考える『コンセプト』の中身は、“理念よりも具体的”で“戦略よりも抽象的”なコンパスとなるもの、とお話させて頂きました。(https://ginalca.jp/blog/232/

時代の移り変わりが激しい現代、また多様性に富んだ社会において、歴史ある企業が培ってきた価値の捉え方は様々です。

例えば、写真(カメラ)業界など。写真はかつては専門の技術と機材を必要とするものでしたが、デジタルカメラとスマートフォンの普及により、今では誰もが簡単に高品質な写真を撮影できるようになりました。その中でプロ向けに、より高機能化を推し進めるメーカーもあれば、「チェキ」のように写真という“モノ”に価値を置き、“あげる”ことができる価値に着目したカメラブランドもあります。これは、時代の捉え方の違いであり、その分岐点は商品をつくる側の人間的な感性の違いだと思っています。(ちなみにチェキはグローバルに若年層に人気でフィルムが品薄らしいです!驚)

ここで重要なのは企業のトップリーダーである社長が「どういう目線で自社の価値と、現在の社会を見ているか」。それが起点となって独自性が企業として追求されていくというのが僕の考え方です。

意外と多い、控えめな●代目社長

ジナルカでは、企業の在り方を見つめ直して、そこからブランディングやマーケティングのお話を進めることが多いです。そういう特性上、結構お話を頂けるのが●代目の社長さんからです。要は創業者ではない社長の方。世襲的に引き継がれた場合もありますし、先代の引退に伴う抜擢人事や経営的な事情による交代など、社長になる背景は様々です。

そういった●代目社長特有が持つ課題、それを深掘りしていくと、多くが“組織”と“時代”のズレに行き着きます。昔の成功体験や、伝統的に受け継いできた考え方、そういったものの中で、やはり柔軟に角度を変えて解釈していく必要のあるものも出てきます。そのズレの調整とはいうのは、触り方を間違えると組織の空気を悪くするものになるので、変革の一手が打てない状況に陥る。そして、社長なのに、本心を表に出せないで遠慮がちに経営をしているといったことが珍しくありません。

スタートアップやベンチャー、一から組織をつくっていく段階ではこのような問題は起きません。守ってきた価値観、培ってきた成功体験、伝統的な商品やサービス、そういったものがないほうが、柔軟性を持てるのでズレを都度解消しやすいというのが理由でしょう。

そういった意味では、●代目社長という引き継ぐ立場のリーダーは、創業社長よりも難易度が高い経営手腕を求められています。

よく選択肢にあがる「リブランディング」という手段

「リブランディング」という言葉を聞いたことがあると思います。自社のブランドのあり方を見直す施策で、多くの歴史ある企業が時代の変化とともにブランドを再定義します。これは長い期間、自社と業界を分析し、自分たちが何者かを議論して、未来を想像しながら固めていきます。

多くの社長が、自社のブランドを見直すためにこの選択肢を検討します。社長交代、戦略刷新、組織変革のタイミングでは有効な手段だと、僕も思います。

ですが、このリブランディングという作業は、時間もお金もストレスも掛かる作業です。組織規模や変更範囲にもよりますが、時間は少なくとも半年以上、予算的には数百万から、ビジュアル面も総じて変更すれば数千万円掛かることもあります。

それでも、多くの企業がリブランディングに頼るのは、時代と組織の意識的な乖離は、すべての活動にマイナスになると考えるからです。ここでいう、「時代」とは「リーダーの考え方」とも言えます。リーダーと組織が一体感を持つことは非常に重要です。

「リブランディング」よりも小さく、即できる施策はないか?

「リブランディング」という作業は、時間とお金が掛かるので、うまくいかなかったときのリスクも高いです。なにより、半年でビジネスのあり方が変わるこの時代では、長期間を掛けて再構築しても、生まれた瞬間にすでに古く見える怖さも潜んでいます。

また、事業活動や収益に影響を及ぼすまでにはさらに時間が掛かってしまう施策です。中小企業の多くが、この点で大掛かりなリブランディングに踏み込めないのも事実です。

そういった、やらなきゃいけないことと、やれることの落とし所が見つからず、困った社長がおそらく世の中にはたくさんいらっしゃるのだと思います。

ジナルカでは乱暴な言い方になるかもしれませんが、社長の考えを起点に、実践的に走りながら自分たちのブランドを考えていこうぜ、ということを提案しています。要は「走りながら小さなリブランディングを繰り返していく」です。

要点は2つ。すごくシンプルです。

①社長の「解釈」を見せること
②それを基に「実践」していくこと

①は社長が「この時代をどう捉えているのか?」を表現すればよいです。社長の言葉で、伝わることを意識した言葉で、社長の頭にあることを伝える。ジナルカではコンセプトというものです。まずは、外の人は無視して、社内にいるすべての人が理解できる、社長らしい言葉で社長の頭をさらけ出すと良いと思っています。

自分が考える、会社の「方向性」と「独自性」を整理して言語化していくのが良いと思います。その両方が見えてくると、自ずと「一貫性」が見えてきます。

あとは、それを日常的な場で活用できるようにコミュニケーションやオペレーションを調整して、「活動」と「議論」を繰り返していくと良いと思っています。それが②です。社長の考え方が見えれば、社員の考えも少しずつ反射して見えてきます。そういった社員の考えは“気づき”として社長が飲み込んで、自分の考え方(感性)に反映するか都度判断していけば良いと思います。

注意点としては、言葉だけだと廃れやすく、大事にされにくいので、ちゃんと「見栄え」を意識することです。あとは、これを落とし込むための新しいタスクや負荷は掛けないほうが良いです。

(ジナルカの社内向けコンセプトシート)

社長発信で皆で育てる会社のコンセプト

現代はVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))時代とも呼ばれる、変化の激しい時代性です。緻密に分析するよりも、自分たちの核心的な価値を理解し、その表現や届け方の多様性を柔軟に考えられるマインドや文化が組織にとっては重要です。

戦略を細かく設計して管理型の組織で背中を押して進むより、コンセプトを共有して自走型の組織で手を取り合って進むことが、時代的に必要になってきたように感じます。大企業は前者を部分的には取り入れないと難しいでしょう。中小企業こそ後者の自走的な組織づくりができるはずです。

法人としての個性は、リーダーである社長の個性や人間性を起点とし、それを軸に社員やステークホルダーの個性を交えて、つくりあげる価値とともに研ぎ澄まされていくのでしょう。

本音をさらけ出すというのは、どこか恥ずかしいことです。ですが、AIとの対比を考えても、人間的で独創的な価値をつくるためには、いままではあえて隠してきた人間的な部分を表現していかなくてはいけないと思っています。これからのリーダーは率先して自己表現をし、自らの感性をベースに組織の個性そのものをつくっていく立場になるのでしょう。

そうなると社長という役割はもっとも心をさらけ出す、少し恥ずかしい役割になっていくのかもしれませんね。

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