スモールビジネスに適したマーケティング定義とは?
このブログを書いた人:
小笠原 裕介
ITサービス事業会社でマーケティング歴20年、経営歴5年、独立して4年。CyberAgent→UNIMEDIA[執行役員]→カラダノート[取締役COO]。新規事業開発、事業戦略策定、マーケティング、セールスに長く携わっていました。ジナルカでは小規模組織を対象に、コンセプトを軸にしたマーケティング支援を行っています。好きな言葉は”ドリブルこそチビの生きる道”。
▼この記事はこんな方におすすめです
- ジナルカにご興味のある方
- マーケティングに課題を感じている経営者の方
- 支援パートナーを探している方
「マーケティングって結局なんなの?」
そう思ったことはありませんか?
多くの企業で使われている言葉ですが、定義や捉え方はまちまちです。特にスモールビジネスでは、“部分的に”行われているだけで、本来の力を発揮できていないケースもよくあります。
だからこそ、この記事の冒頭ではまず、ジナルカが考えるマーケティングの定義から共有させてください。
「顧客を深く理解し、生活を好転させる価値を届け、その価値を適切に伝え、選ばれやすい環境を整える——そのすべてを一貫したコンセプトのもとで実行する。」
これは、ジナルカが考えるスモールビジネス(特に従業員50名以下の小規模法人)にとって、最適なマーケティングの定義です。
「マーケティング」という言葉は広く使われていますが、その定義や実態にはばらつきがあります。とくにスモールビジネスの現場では、マーケティング活動が断片的になりがちで、成果に結びつかないままコストだけがかさむケースも少なくありません。
重要なのは、「コンセプトを明確にし、価値提供の一貫性を保ち、それを適切な手法で実行すること」です。事業全体を俯瞰し、顧客を分析し、価値を届けるまでのプロセスを可視化して、改善を繰り返す。この一連の作業を、小規模ならではの機動力を活かしてスピーディーに進めることが、成長の鍵になります。
そもそも「マーケティング」とは?
僕たちは日常的に「マーケティング」という言葉を使いますが、その概念は意外と曖昧です。そもそもマーケティングとは何なのか?
一般的な解釈では、マーケティングは単なる「販売」や「宣伝活動」ではなく、「市場や顧客を理解し、価値を創造し、それを適切に届ける活動」を指します。しかし、実際にはこの考え方が浸透しておらず、販促や広告施策をマーケティングの全てと考えている企業も多いのが現状です。
そこで、日本の第一線で活躍するマーケターたちが「マーケティング」をどう定義しているのかを紹介したいと思います。
音部大輔氏
「消費者の認識に作用して、購入などの消費者行動に必然性を提供する企業活動」に加え、「属性の順位を転換して市場を創造する」
— 『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP社)
音部氏の定義では、マーケティングの役割は「消費者の意識を変え、新しい価値を提案すること」にあります。つまり、消費者が「これが欲しい」と思う価値基準を再定義し、競争市場の中で優位性を生み出すことが重要だと説いています。
森岡毅氏
「『商品を売る』のは営業の仕事、『商品を売れるようにする』のがマーケティングの仕事。」
つまり、「自社商品が顧客に『選ばれる必然(選ばれて当たり前の理由)』を作ること。」
— 『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(KADOKAWA)
森岡氏は、マーケティングの本質は「仕組みをつくること」だと述べています。消費者の思考や行動を分析し、手に取りやすい環境を整え、体験価値を高める。その一貫した仕組みを作ることで、マーケティング活動が効果を発揮すると考えています。
西口一希氏
「マーケティングとは、魅力的な商品やサービスを開発し、顧客に継続的に購買・使用してもらう活動。」
「顧客が生活の中で何を考え、何を求めているのかを知ることが、マーケティングの基本。」
— 『顧客起点マーケティング』(翔泳社)
西口氏の考え方は非常にシンプルで、「顧客の視点に立つこと」がマーケティングの核であるとしています。顧客のニーズを理解し、それを満たす商品・サービスを提供することで、継続的な関係性を築いていくことが求められます。
スモールビジネスにとってのマーケティングとは?
マーケティングが機能している、していない——その境界線はどこにあるのでしょうか?
僕が多くのスモールビジネスの相談を受ける中で感じるのは、「一貫性の欠如」が最大の課題だということです。たとえば…
- ・視覚的に魅力的な商品を持っているのに、検索広告のみでプロモーションしている
- ・対面での顧客対応は優れているのに、オンラインでの継続的な接点を持てていない
- ・SNSでの発信は活発なのに、ブランドの方向性がブレている
こうした「もったいない」状況に陥っているケースをよく見かけます。部分最適の積み重ねではなく、事業全体を捉え、一貫性を持ってマーケティング活動を進めることが必要です。一貫性は方針とも言え、同じ方向性を向いて生産活動を企業として行えているかこそ、マーケティングを備えた企業の最低条件とも言えるはずです。
ジナルカのマーケティングが目指すもの
改めて、ジナルカが考えるスモールビジネスのマーケティング定義を振り返ります。
「顧客を深く理解し、生活を好転させる価値を届け、その価値を適切に伝え、選ばれやすい環境を整える——そのすべてを一貫したコンセプトのもとで実行する。」
マーケティングは単発の施策ではなく、文化として組織に根付かせるものです。企業全体で「一貫性」を意識しながら、顧客との向き合い方を考えることが、事業の成長につながると僕は考えています。
今回のブログは、僕自身の思考整理の側面が強かったかもしれませんが、読んでくださった方が、マーケティングを再考するきっかけになれば嬉しいです。
ではまた。